その画像、使っても大丈夫?広報担当者が知っておくべき画像生成AIの法的リスクと回避策 - CYBER VALUE | 企業の誹謗中傷・炎上リスク対策・SNS削除依頼に即時対応
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その画像、使っても大丈夫?広報担当者が知っておくべき画像生成AIの法的リスクと回避策

MidjourneyやStableDiffusion、AdobeFireflyといった画像生成AIの台頭により、広報・マーケティングの現場では、かつてないスピードでビジュアル制作が可能になりました。しかし、その利便性の裏で「著作権」を巡る法的トラブルが急増しています。

「生成した画像をそのままSNSに投稿していいのか?」「意図せず他人の権利を侵害しないか?」といった不安を抱える担当者は少なくありません。万が一、権利侵害が認められた場合、企業の社会的信頼の失墜や、多額の損害賠償請求に発展する恐れがあります。

本記事では、画像生成AIの著作権に関する基本知識から、実務で直面する3つの大きなリスク、そしてトラブルを未然に防ぐための具体的なセルフチェックとガイドライン構築法まで、詳しく解説します。

画像生成AIと著作権の基本知識|「権利は誰にあるのか?」

画像生成AIを利用する上でまず理解すべきなのは、その生成物に著作権が発生するのか、そして誰が権利を持つのかという点です。日本の著作権法に基づいた基本的な考え方を整理しましょう。

画像生成AIと著作権の関係を正しく理解するためには、まず「AIが作ったもの」の法的扱いと、侵害を判断する基準を知る必要があります。

AI生成物に「著作権」が発生しないケースと発生する条件

結論から述べると、AIに対して短いプロンプト(指示文)を入力し、AIが自動的に生成した画像には、原則として「著作権」は発生しません。

著作権法における「著作物」の定義は、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされています。AIが自律的に生成したものは「思想又は感情」を伴わないため、著作権の対象外となるのが一般的な解釈です。

一方で、人間がAIを「道具」として使いこなし、人間側に「創作的寄与」が認められる場合には著作権が発生します。具体的には、以下の条件がポイントとなります。

  • プロンプトの工夫:極めて長く、詳細かつ具体的な指示を行い、表現を制御している。
  • 試行錯誤のプロセス:何百回もの生成を繰り返し、意図に近づけるための選択・修正を行っている。
  • 生成後の加筆・修正:AIが生成した画像に対し、人間が加工や加筆を行い、新たな創作性を加えている。

既存の著作物との「類似性」と「依拠性」が判断の分かれ目

AI生成画像が他人の権利を侵害しているかどうかは、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」の2軸で判断されます。これは、AIを使わずに人間が絵を描いた場合と同じ基準です。

判断基準内容
類似性生成された画像が、既存の著作物(特定のイラストや写真など)と客観的に見て似ていること。
依拠性その画像を作る際に、既存の著作物を「元にした(参考にした)」こと。

AI利用において特に注意が必要なのは、AIの学習データに既存の著作物が含まれている場合、作成者が「その画像を知らなかった」と主張しても、AIがそれを学習していれば「依拠性」があるとみなされる可能性がある点です。

具体的な事例や対策はこちら:生成AIリスク対策 ホワイトペーパー

【引用元】

文化庁:令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/93903601.html

広報・マーケ担当者が直面する3つの大きな法的リスク

画像生成AIをビジネスで活用する場合、法的リスクは単なる「著作権侵害」に留まりません。企業のブランド価値を左右する、特に注意すべき3つのリスクを具体的に見ていきましょう。

これらのリスクは、広報担当者が意図していなくても発生してしまう性質を持っています。それぞれの内容を詳しく確認します。

1.知らぬ間に既存キャラクターやデザインを模倣してしまうリスク

最も頻発しやすいのが、意図せず特定のキャラクターや、他社のロゴ、独特のデザイン様式を模倣してしまうリスクです。

例えば、「猫が宇宙でラーメンを食べているイラスト」という一般的なプロンプトであっても、AIが特定の人気アニメーションのタッチや配色を強く再現してしまうことがあります。これが商用広告として公開された場合、権利者から「著作権侵害」として訴えられる可能性があります。特に、学習データに偏りがあるモデルを使用している場合は、特定の著作物の特徴が出やすいため注意が必要です。

2.著名人のパブリシティ権や肖像権を侵害する可能性

実在の著名人、タレント、インフルエンサーなどの氏名や容貌には「パブリシティ権」や「肖像権」が認められます。

AIツールの中には、特定の芸能人の名前をプロンプトに入れることで、その人物に酷似した画像を生成できるものがありますが、これを広告やプロモーションに無断で使用することは明白な権利侵害です。たとえ名前を伏せていても、一般人が見て「あの人だ」と認識できるレベルであれば、法的責任を問われることになります。

3.ツール独自の「利用規約」に違反し商用利用不可となるケース

著作権法以前の問題として、各AIツールの「利用規約(ToS)」を遵守しなければなりません。

多くのツールでは「無料プランは非商用のみ、有料プランなら商用利用可」という区分が設けられています。しかし、以下のような落とし穴があるため注意が必要です。

  • 規約の頻繁な更新:昨日はOKだった商用利用が、規約変更により制限される可能性がある。
  • 生成物の権利帰属:「生成物の権利はユーザーに帰属する」と明記されているか確認が必要。
  • 学習への利用:入力したデータが、AIの追加学習に利用される設定になっていないか(機密情報の流出リスク)。

具体的な事例や対策はこちら:生成AIリスク対策 ホワイトペーパー

【引用元】

一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA):生成AIの利用ガイドライン
https://www.jdla.org/document/

トラブルを未然に防ぐ!公開前にすべき4つのセルフチェック

法的リスクを完全にゼロにすることは難しいですが、適切なプロセスを踏むことで、リスクを最小限に抑えることは可能です。画像を公開・納品する前に、必ず以下の4項目をチェックしてください。

チェックフローをルーチン化することで、担当者の心理的ハードルを下げつつ、組織の安全性を高めることができます。

プロンプトに特定の作家名や作品名が含まれていないか確認

プロンプトを作成する際、特定の作家の画風を再現するために「styleof[作家名]」といった指示を入れることは、実務上は極めて高リスクです。

「画風(スタイル)」自体に著作権は認められませんが、特定の作家に似すぎた画像を商用利用することは、その作家の利益を不当に害するとみなされたり、SNSでの炎上リスクを招いたりします。特定の固有名詞を避け、抽象的な言葉(例:「水彩画風」「鮮やかな色彩」など)で指示を出すように徹底しましょう。

生成された画像を「画像検索」にかけて類似画像がないか照合

完成した画像が、既存の著作物と似ていないかを確認する最も有効な手段は、Google画像検索や各ストックフォトサイトの「類似画像検索機能」を利用することです。

生成画像を検索にかけ、もし上位に酷似した既存のイラストや写真が表示された場合は、その画像の使用は避けるべきです。このステップを挟むことで、「意図せぬ類似性」によるトラブルの多くを回避できます。

最終的な成果物に人間による「創作的寄与(加筆・修正)」を加える

AIが生成した画像をそのまま(撮って出しの状態で)使用するのではなく、必ずデザイナーの手による加工を加えることを推奨します。

  • 一部の書き換え:AIが苦手なディテールを修正する。
  • 合成処理:複数のAI画像を組み合わせたり、自社素材と合成したりする。
  • 独自要素の追加:会社のロゴや、独自の配色ルールを適用する。

このように、人間による明確な「創作的寄与」をプロセスに組み込むことで、生成物に対して自社の著作権を主張できる可能性が高まり、他者の権利侵害リスクも低減します。

利用するAIツールの「商用利用範囲」を最新の規約で再確認

AIツールの利用規約は非常に流動的です。プロジェクト開始時だけでなく、公開直前にも最新の規約を確認してください。

特に注意すべきは「AdobeFirefly」のように「著作権侵害をしないように学習された」と謳っているツールと、そうでないツールの使い分けです。企業の広報活動においては、権利関係がクリーンな学習データを用いているツールを優先的に選択することが、最大の防御策となります。

企業として安全に運用するための「AI利用ガイドライン」構築法

担当者個人の裁量に任せるのではなく、組織として「画像生成AIの利用ルール」を定めることが、企業のコンプライアンス維持には不可欠です。

ガイドラインは、クリエイティブを制限するためのものではなく、安心して挑戦できる環境を作るための土台となります。

社内で統一すべき3つの禁止事項と推奨ルール

ガイドラインには、以下の要素を盛り込むのが一般的です。

  1. 特定の個人の権利侵害の禁止:著名人や特定のクリエイターの名称をプロンプトに使用しない。
  2. 利用ツールの限定:会社がセキュリティと権利関係を確認し、承認したツールのみを使用する。
  3. 証跡(ログ)の保存:どのようなプロンプトで生成したかのログを一定期間保存し、透明性を確保する。

万が一の権利侵害に備えた法的責任の所在とフローの明確化

どれほど注意を払っていても、権利侵害の申し立てを受ける可能性はゼロではありません。その際の初動対応フローをあらかじめ決めておきましょう。

  • 相談窓口の設置:法務部門や顧問弁護士との連携ラインを確保する。
  • 使用停止の判断基準:指摘を受けた際の公開停止判断の権限者を明確にする。
  • 補償制度の確認:有償ツールが提供する「著作権補償プログラム」の適用範囲を確認しておく。

【引用元】

AI事業者ガイドライン(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240419_report.html

まとめ:正しい知識で画像生成AIをビジネスの武器にしよう

画像生成AIは、正しく使えば広報・マーケティングの生産性を飛躍的に高める強力な武器になります。しかし、その強力さゆえに、著作権や肖像権といった法的リスクへの理解不足は、企業にとって致命的なダメージになりかねません。

  1. AI生成物には原則著作権がないことを理解し、加筆修正を行う
  2. 「類似性」と「依拠性」の基準に基づき、既存著作物との被りを避ける
  3. 公開前の画像検索と最新規約のチェックを徹底する

これらを習慣化し、組織的なガイドラインを構築することで、安全かつクリエイティブなAI活用が可能になります。

法務リスクを恐れて活用を躊躇するのではなく、確かな知識を身につけて、次世代のマーケティング活動に活かしましょう。

具体的な事例や対策はこちら:生成AIリスク対策 ホワイトペーパー

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