名誉毀損で損害賠償請求できる?企業が知るべき要件・金額・判例まとめ
「ネット上で事実無根の悪評を書かれたが、どう対処すべきかわからない」
「会社のイメージが悪くなる前に、相手に責任を取らせたい」
このようにお悩みの経営層・法務担当者様へ。ネットの中傷や不当なレビューに対し、企業が泣き寝入りする必要はありません。
この記事では、法的に損害賠償を請求するための3つの条件、獲得できる金額の相場と実際の判例、そして具体的な手続きの手順をわかりやすく解説します。
ネットの中傷が企業にもたらす3つの深刻な損失
ネット上の誹謗中傷や事実無根の不当なレビューは、放っておけばそのうち収まるだろうと放置されがちです。しかし、企業の風評被害は個人の場合よりも実害が大きく、気づいたときには手遅れになっているケースが少なくありません。
まずは、放置することで企業が被る深刻なリスクを正しく把握し、対策の重要性を再確認しましょう。
企業のブランドを傷つける3つの大きなダメージ
ネットの悪質な書き込みを放置すると、以下のような企業イメージの毀損、損失が一気に押し寄せ会社の存続すら危うくします。
- 売上の激減:商品やサービス、店舗の評価に嘘の悪評を書かれることで検討中だった顧客が離れ、新規獲得のチャンスが根こそぎ奪われます。
- 採用活動の崩壊:求職者は必ず企業の評判をネットで検索します。悪口が放置されている会社には応募が集まらず、採用コストだけが膨らむ結果になります。
- 取引先からの信用失墜:既存の取引先や金融機関から、コンプライアンス的に大丈夫かと不信感を抱かれ、最悪の場合は取引停止や融資の見送りに追い込まれます。
ネットの悪評はスピード拡散する
ネットの恐ろしいところは、1つの小さな悪意ある書き込みがSNSやまとめサイトを通じて、あっという間に拡散してしまう点です。時間が経つほどデジタルタトゥーとしてネット上に残り続け、企業の傷口は広がり続けます。
会社(法人)も法律で守られている|個人だけじゃない
名誉毀損って、人間に対してだけじゃないのかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。法律上、会社という「法人」であっても、社会的な評価を不当に落とされた場合は、しっかりと名誉毀損が成立します。
企業のブランドや従業員の雇用を守るため、毅然とした態度で法的手段を選択できるということを、まずは知っておいてください。
名誉毀損で損害賠償を請求できる3つの条件|わが社は訴えられる?
ネットで不当な書き込みを見つけた際、すべてのケースで裁判に勝てるわけではありません。法的に「名誉毀損」として損害賠償を請求するためには、裁判で認められるための重要な条件があります。
難しい法律用語を噛み砕き、自社の被害が該当するかセルフチェックできる3つの基準を用意しました。
条件1:だれの目にも触れる状態か(公然性)
最初の条件は、その書き込みが不特定多数の人が見られる場所に投稿されているかどうかです。例えばX(旧Twitter)などのSNSや誰でも閲覧できるネット掲示板、Googleマップの口コミ、ブログのコメント欄などに書かれている場合はこの条件を満たします。
一方で、1対1のダイレクトメッセージ(DM)や、社内のごく一部の人間しか見られない非公開のチャットツールでの発言は基本的には対象外となります。
条件2:具体的な嘘や悪口で会社の評判を落としているか(事実の摘示)
単なる個人の好みの問題(この店の味が口に合わなかったなど)ではなく、具体的な事実を挙げて、企業の社会的信用を下げているかどうかがポイントです。
この会社は賞味期限切れの肉を使っている。残業代を一切払わないブラック企業など、真偽を確かめられる具体的な内容は条件に該当します。しかし、なんとなく社長の雰囲気が気に入らない、おもしろくない会社など、主観的な感想レベルでは認められにくいのが実情です。
条件3:公共の利益のためとは言えない単なる嫌がらせか(違法性阻却事由の不在)
もし書き込みが世の中のためを思って投稿された真実であれば、名誉毀損にはなりません。逆に言えば正当な告発ではなく、単に企業を貶める目的の嫌がらせであれば条件を満たします。元従業員が腹いせに嘘の社内不正を書き込んだり、ライバル企業が営業妨害を目的に悪評を捏造したりしたケースがこれに該当します。
企業の名誉毀損損害賠償の金額相場と実際にあった裁判例
名誉毀損で訴えるとして一体いくらくらい請求できるのかは、経営層や法務担当者が最も気になるポイントでしょう。
裁判にかかる費用や手間に見合うのかを冷静に判断するために、企業における損害賠償の金額相場と、過去に裁判所が下した具体的な判例をご紹介します。
会社が請求できる損害賠償の金額相場
一般的に、会社(法人)が名誉毀損で勝ち取れる損害賠償の相場は、数十万円〜数百万円と言われています。
個人の名誉毀損(数万円〜数十万円)に比べると高額になる傾向がありますが、これは企業の場合「書き込みのせいでどれだけ売上が落ちたか」「業務をどれだけ妨害されたか」という実害が考慮されるためです。悪質性が高く、企業の営業に大打撃を与えたと認められれば、数百万単位の賠償金が命じられることも珍しくありません。
実際にあった裁判例
裁判所が過去にどのような判断を下したのか、分かりやすい2つの実例を見てみましょう。
| 被害の内容 | 裁判所の判断(獲得した金額) |
|---|---|
| インターネットの掲示板に、ある企業が反社会的勢力とつながりがある、詐欺を働いていると事実無根の書き込みを何度もされたケース。 | 企業の社会的信用を著しく失墜させたとして、裁判所は投稿者に対して約200万円の損害賠償支払いを命じました。 |
| 口コミサイトにて、競合他社からこの会社の商品は欠陥品ばかりで危険という嘘のレビューを組織的に書き込まれたケース。 | 正当な競争を逸脱した悪質な営業妨害と認められ、売上減少の補償も含めて数百万円規模の賠償が認められました。 |
このように事実無根の悪意ある中傷に対しては、裁判所も厳しい判断を下してくれます。どうせ大した金額にならないからと諦めて泣き寝入りする必要はまったくありません。
損害賠償を請求するまでの実務フロー4ステップ|泣き寝入りを防ぐ
いざ法的な対策をとると決めた場合、どのような手順で動けばいいのでしょうか。実際に相手を特定し、損害賠償を請求するまでの具体的な実務フローを4つのステップで解説します。
ここでの行動の早さが、トラブル解決の成否を分ける最大の鍵となります。
ステップ1:証拠を確実に残す
何よりも最初に行うべきは証拠の保全です。相手が書き込みを消して逃げる前に、パソコンやスマホのスクリーンショット機能で画面を保存します。悪口の内容だけでなく「投稿された日時」「投稿者のアカウント名やID」「その画面のURL」がすべて1つの画面に収まるように撮影してください。
ステップ2:不適切な口コミの削除を依頼する
これ以上の被害拡大を防ぐため、サイトの運営者やプラットフォーム(GoogleやSNSの運営会社など)に対し、利用規約違反として口コミの削除依頼を行います。専用の通報フォームや問い合わせ窓口から、ガイドラインに沿って申請します。
ステップ3:犯人を特定する(発信者情報開示請求)
匿名で書かれた投稿の場合、まずはどこの誰が書いたかを特定しなければ損害賠償請求ができません。そこでプロバイダやサイト運営者に対して、投稿者の氏名や住所を明かすよう求める手続き(発信者情報開示請求)を行います。
ネット上の通信ログ(誰がアクセスしたかの記録)の保存期間は、わずか数ヶ月(3ヶ月〜半年程度)と非常に短いです。この発信者情報開示請求の期間を過ぎてログが消えてしまうと、二度と犯人を特定できなくなります。不当な書き込みを見つけたら、とにかく早く動くことが鉄則です。
ステップ4:損害賠償を請求する
犯人の身元が特定できたら最終段階です。まずは弁護士を通じて、これだけの損害が出たので賠償金を支払ってくださいという書面(内容証明郵便)を送り、話し合い(示談交渉)をスタートさせます。相手が応じない場合や反省の色が見えない場合は、民事裁判を起こして法的に賠償金を勝ち取ることになります。
どちらに頼むべき?弁護士と風評被害対策会社の賢い使い分け
ネットの中傷トラブルを解決する際、自社だけで対応するのは時間的にも知識的にも困難です。そこで外部の専門家を頼ることになりますが、主な相談先には「弁護士」と「風評被害対策会社」があります。
それぞれの得意分野を理解し、効率的なネット風評被害の対策を行いましょう。
弁護士ができること:犯人の特定と法律的な決着
弁護士は、法律の力を使って相手を追及するプロフェッショナルです。裁判所を通じた開示請求、犯人の特定、相手方との示談交渉、損害賠償請求の裁判手続きなどを代理人として一手に引き受けます。悪質な書き込みをした加害者に、刑事・民事の両面できちんと責任を取らせることができるのが最大のメリットです。
気になる企業での、誹謗中傷の弁護士費用の相場としては削除依頼や開示請求、裁判まで含めると、総額で数十万〜100万円以上の費用がかかるケースが多いです。ただし、勝訴すればその費用の一部を相手に請求できる場合もあります。
風評被害対策会社ができること:今ある被害の拡大防止
対策会社はITやマーケティングの技術を使って、ネット上のブランドを守るプロフェッショナルです。ネット上の24時間監視による怪しい書き込みの早期発見や、検索結果で中傷サイトを上位に表示させない対策(逆SEO)、検索サジェスト(予測検索ワード)に汚い言葉が出ないようにする対策などを得意とします。今まさに起きている炎上を鎮火する、これから先の風評被害を未然に防ぐというスピード感ある実務対応に優れています。
企業の正しい選択肢:2つの力を掛け合わせた最強の防御陣形
どちらか一方だけを選べばいいというわけではありません。企業のブランドを守るための正しい選択は、それぞれの強みを掛け合わせることです。
- 過去の犯人を引きずり出し、落とし前をつけさせるのは「弁護士」
- 今起きている被害を最小限に抑え、未来のブランドを守るのは「風評被害対策会社」
この2つが連携することで、企業の信頼失墜を防ぎながら、悪質な投稿者に対して的確な損害賠償請求を行うことができるようになります。
まとめ:会社のブランドを守るために手遅れになる前の早期相談を
ネット上の風評被害や誹謗中傷は、放置すればするほど雪だるま式に拡散し、企業の売上や採用、取引先からの信用をじわじわと確実に蝕んでいきます。通信ログの保存期間というタイムリミットがある以上、様子を見ようという数日・数週間の遅れが、結果として犯人を特定できず泣き寝入りするという最悪の結末を招きかねません。
「自社のケースは名誉毀損として損害賠償を請求できるだろうか?」
「これ以上、会社のイメージが悪くなるのを一刻も早く止めたい」
このようにお悩みの経営層・法務担当者様は、企業のネット風評被害対策のプロフェッショナルである『CYBER VALUE』へ、ぜひ一度お気軽にご相談ください。手遅れになる前に適切な手を打ち、大切な御社のブランドと利益を守りましょう。
