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警察庁に反社会的勢力リストはある?公式DBの有無と照会手順

現代の企業経営において、反社会的勢力(以下、反社)との関係遮断は、単なるマナーではなく「企業の存続」に関わる絶対条件です。一度でも反社との繋がりが発覚すれば、銀行融資の停止、上場廃止、最悪の場合は倒産に追い込まれる「コンプライアンス・リスク」に直結します。

多くの担当者が「警察が持っている公式のリストを直接確認できれば確実なのに」と考えることでしょう。しかし、結論から申し上げますと、警察庁が一般企業や個人向けに「反社会的勢力名簿(リスト)」を公開・配布することはありません。

では、企業はどのようにしてリスクを排除すればよいのでしょうか。本記事では、警察庁のデータベースの仕組みから、実務で使える多角的な検索ステップ、さらにはトラブルを未然に防ぐ社内フローまで詳細に解説します。

反社会的勢力リストの真実|警察庁は公式名簿を公開しているか

「警察庁に問い合わせれば、すぐに反社かどうかわかる」という誤解が多く見られますが、実態はより複雑です。まずは、なぜ公式リストが一般公開されていないのか、その背景と代替となる照会手段について正確に把握しましょう。

1. 警察庁や自治体が「一般公開リスト」を設けない2つの理由

警察庁や各都道府県の警察、自治体が「反社リスト」を一般公開しない背景には、日本の法制度と捜査上の機密保持という2つの大きな壁があります。

  • 人権侵害と名誉毀損のリスク:
    反社会的勢力の認定は、警察の内部情報に基づいて行われます。これを一般公開してしまえば、万が一「離脱した人物」や「誤って掲載された人物」がいた場合、その人物の社会的な更生や生活を著しく妨げることになり、国や自治体が損害賠償請求を受けるリスクが生じます。
  • 捜査の秘匿性と反社の対策防止:
    誰がマークされているかを公開することは、警察の「手の内」をさらすことと同義です。リストに載っていない構成員や、フロント企業(共生者)を窓口に立てるなど、反社側に潜伏・回避の機会を与えてしまうため、捜査上の観点からも公開は不可能なのです。

2. 暴力追放運動推進センター(暴追センター)への照会と活用法

警察が直接リストを公開しない代わりに、企業が公的な情報を得るための重要な窓口となるのが「公益財団法人 全国暴力追放運動推進センター(通称:暴追センター)」です。

暴追センターは、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づき設置された公的機関です。企業が暴追センターの「賛助会員」になることで、警察が保有する暴力団員等に関する情報の照会が可能になります。ただし、以下の点に留意が必要です。

  • 照会の条件: 基本的に、契約締結前や採用前など「正当な理由」がある場合に限られます。
  • 回答の形式: 「該当あり・なし」の回答が主であり、詳細な身上書が出るわけではありません。
  • スピード感: 即時回答ではなく、数日から1週間程度の時間を要するのが一般的です。

3. 警察庁データベースと連携可能な「民間ツール」の仕組み

近年、多くの企業が導入している「反社チェックツール」は、警察庁のデータベースを直接覗き込んでいるわけではありません。しかし、一部の高度なツールは「警察庁の指針」に基づいたデータ収集を行っています。

民間ツールは、主に以下の3つのリソースを統合してスコアリングを行っています。

  1. 公的情報の蓄積: 過去の官報、裁判記録、警察の摘発情報。
  2. 報道・ニュースDB: 全国紙から地方紙、業界紙に至るまでの過去数十年分の不祥事記事。
  3. 独自収集データ: 専門の調査機関が足で稼いだフロント企業や密接交際者の相関図。

これにより、警察のDBに直接アクセスできずとも、実務上は警察の判断基準に近いレベルでのリスク検知が可能となります。

【引用元】

警察庁 組織犯罪対策
https://www.npa.go.jp/bureau/sosikihanzai/index.html

全国暴力追放運動推進センター
https://www.zenboutsui.jp/index.html

実名・企業名を特定する3つの多角的な検索ステップ

公的な「一発回答」が存在しない以上、企業は複数の情報源を組み合わせて「外堀を埋める」調査を行う必要があります。ここでは、実務で推奨される3つの多角的な検索ステップを解説します。

1. 新聞記事データベースを用いた過去の不祥事・実名検索

反社チェックの王道であり、最も証拠能力が高いのが新聞記事の検索です。Google検索では数年で消えてしまうニュースも、有料の新聞DB(日経テレコン、G-Searchなど)であれば、過去30年分以上のアーカイブを遡れます。

  • 具体的な検索手法:
    ターゲットの「氏名」または「企業名」に対し、以下のネガティブキーワードを組み合わせてAND検索を行います。
    • 「氏名」 AND 「逮捕」
    • 「企業名」 AND 「暴力団」
    • 「氏名」 AND 「送検」
    • 「氏名」 AND 「恐喝」
  • 注意点:
    同姓同名の別人がヒットする可能性が非常に高いため、住所、生年月日、経歴などと照らし合わせる「名寄せ」作業が必須となります。

2. SNS・インターネット情報の信憑性を判断する2つの指標

リアルタイムの情報収集にはネット検索やSNSが有効ですが、フェイクニュースや誹謗中傷が含まれる点に注意が必要です。情報の信憑性は以下の2軸で判断します。

  1. 発信元の属性:
    匿名の掲示板(5ちゃんねる等)や個人ブログの情報は、それ単体では証拠になりません。一方で、地方自治体の広報誌や、特定の業界団体が注意喚起を出している場合は、信憑性が高いと判断できます。
  2. 情報の具体性と一貫性:
    「~という噂がある」といった抽象的な表現ではなく、「〇年〇月に〇〇県警が家宅捜索に入った」といった具体的な日時・場所・事由が記載されており、複数のソースで内容が一致しているかを確認します。

3. 知財情報や登記簿謄本から不透明な関係性を読み解く方法

法人のチェックにおいて、登記簿(履歴事項全部証明書)は情報の宝庫です。表向きはクリーンな企業でも、登記簿の「変遷」にリスクが隠れていることがあります。

  • 不自然な本店移転:
    短期間に県をまたぐ移転を繰り返していたり、バーチャルオフィスを転々としている場合は、実態を隠蔽している疑いがあります。
  • 役員の入れ替わり:
    就任期間が極端に短い役員が多い、または過去に倒産させた企業の役員が名を連ねている場合、注意が必要です。
  • 商号変更の履歴:
    過去に悪評が立った社名を捨て、全く異なるイメージの社名に変更して「ロンダリング」を図るケースがあります。
調査項目確認すべきリスクサイン信頼性
登記簿(役員)過去の不祥事企業との役員兼任、頻繁な交代
登記簿(住所)反社ビルとしての指定、実態のない住所
新聞DB過去の摘発、逮捕、行政処分歴最高
WEB/SNS反社との交友関係を示唆する写真、口コミ低~中

【引用元】

法務省:民事局(登記に関すること)
https://www.moj.go.jp/MINJI/index.html

国税庁:法人番号公表サイト
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

採用・取引開始時に行うべきコンプライアンスチェックの基準

どの程度の調査を行えば、企業として「十分な注意を払った」と言えるのでしょうか。ここでは、実務上の「チェック基準(しきい値)」について具体的に定義します。

1. 履歴書だけでは見抜けない「反社との繋がり」を確認する項目

近年、暴力団員本人が直接現れることは少なくなり、「共生者(フロント企業や協力者)」を介した接触が増えています。採用シーンでは、以下の項目を重点的にチェックします。

  • 空白期間の活動実態:
    履歴書に数年間の空白がある場合、その期間に刑務所に服役していたり、組織活動に従事していたりする可能性があります。面接ではその期間の生活基盤や具体的な活動内容を確認し、矛盾がないか精査します。
  • リファレンスチェック:
    前職への照会は、素行確認において非常に有効です。ただし、個人情報保護法との兼ね合いがあるため、必ず本人の同意を得た上で実施する必要があります。

2. 無料の手動検索と有料ツールのコストパフォーマンス比較

チェックコストを抑えるために手動検索のみで済ませる企業も多いですが、そこには「見落とし」という最大のリスクが潜んでいます。

  • 手動検索の限界:
    作業者によって検索スキルの差が出る、検索漏れが発生する、証跡(エビデンス)の管理が煩雑になる、といった課題があります。1件あたり30分~1時間の人件費を考えると、実は非効率な場合が多いです。
  • 有料ツールのメリット:
    独自の反社DBを瞬時に照会でき、API連携によって「取引先登録」と同時に自動でチェックが走る仕組みも構築できます。1件数百円~数千円のコストで「上場審査にも耐えうるエビデンス」が残せるため、中長期的なコスパは非常に高いと言えます。

3. 企業の規模やリスク許容度に応じたチェックツール導入の判断基準

以下の属性を持つ企業は、簡易的な検索ではなく、専門ツールの導入が必須レベルの「高リスク環境」にあると判断すべきです。

  • 上場(IPO)を目指している: 証券会社や取引所による審査では、非常に厳格な反社チェック体制が求められます。
  • 金融・不動産業: 業種特有の規制(犯罪収益移転防止法など)により、より高度な本人確認とリスク判定が義務付けられています。
  • 不特定多数との契約: BtoCサブスクリプションなど、取引数が膨大な場合、手動チェックは物理的に不可能です。

【引用元】

経済産業省:価値創造経営、開示・対話、企業会計、CSR(企業の社会的責任)についてhttps://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/index.html

反社会的勢力との疑いが出た際の「お断り」実務と法的リスク

調査の結果、相手が「黒」に近いと判断された場合、そこからの対応こそが企業の真価を問われます。感情的にならず、法的な裏付けを持って対応することが重要です。

1. 契約書に盛り込むべき「反社会的勢力排除条項」の必須フレーズ

まずは、契約書という「盾」を強固にしておく必要があります。多くの自治体が制定している暴力団排除条例に基づき、以下の要素を網羅した「反社条項」を必ず盛り込みます。

  1. 属性の排除: 暴力団、暴力団員、準構成員、関係企業、総会屋等。
  2. 行為の排除: 暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求。
  3. 無催告解除権: 相手が反社だと判明した瞬間、催告なしに契約を解除できる権利。
  4. 損害賠償不要: 解除によって相手に損害が出ても、一切賠償しない旨の規定。

2. 現場で使える「角を立てずに断る」ための3つのコミュニケーション

「反社だから取引しません」と直接告げることは、相手を刺激し、報復や嫌がらせを招く恐れがあります。実務上は、以下の「理由を明確にしない拒絶」が鉄則です。

  1. 「総合的な判断」を強調する:
    「弊社の社内規定およびコンプライアンス基準に基づく総合的な判断の結果、今回はお取引を見送らせていただくことになりました」という定型句で押し通します。
  2. 具体的な基準は「非公開」:
    「どの項目が引っかかったのか?」と問われても、「審査基準の詳細については一切開示しておりません」という回答を徹底します。
  3. 窓口の集約:
    相手が執拗な場合は、現場担当者ではなく「法務担当」や「弁護士」に窓口を一元化し、感情的な交渉を遮断します。

3. 警察や弁護士と連携すべき深刻なトラブルの予兆

相手が「会社に乗り込むぞ」「ネットで悪評を流すぞ」といった脅迫的な言動に出た場合は、自社対応の限界です。速やかに以下の機関と連携してください。

  • 所轄警察署の暴力団対策課(組対担当): 物理的な危険がある場合。
  • 弁護士(暴排実務に精通した事務所): 法的な窓口を代行してもらう場合。
  • 暴追センター: 不当要求に対する具体的な撃退法のアドバイスが必要な場合。

【引用元】

日本弁護士連合会:民事介入暴力の根絶(民事介入暴力対策委員会)
https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/minbou.html

そのまま使える「反社チェックフロー」の正解モデル

チェック漏れを防ぐには、属人的な判断を排除した「仕組み」が必要です。ここでは、標準的な社内フローのモデルケースを紹介します。

1. 1次審査から最終判断までの社内決裁フロー図解

  1. 【1次審査】現場部門:
    取引開始前にWeb検索・SNS検索・ツールによるスコアリングを実施。
  2. 【2次審査】法務・総務部門:
    1次審査で「要確認」となった案件を精査。新聞DBの深掘りや暴追センターへの問い合わせを行う。
  3. 【特別審査】コンプライアンス委員会:
    グレーゾーン案件について、経営層・顧問弁護士を交えて、取引のリスクとメリットを最終判断。
  4. モニタリング】定期的チェック:
    既存の取引先に対しても、年1回程度の再チェック(スクリーニング)を実施。

2. チェックの証跡(エビデンス)を保管する際の3つの注意点

「調査した」という事実を法的に証明できなければ、義務を果たしたとは言えません。

  • 「該当なし」のログ保存: ツールを使用した際の検索日時、検索条件、結果画面をセットで保存します。
  • 紙の記録だけでなくデジタル保存: 経年劣化や紛失を防ぐため、クラウド上の共有フォルダなどで一元管理します。
  • 契約更新時の再取得: 契約締結時のエビデンスが古くなると、その後の「変質(取引先が後から反社化した)」に対応できません。定期的な更新が必要です。

まとめ:独自の反社会的勢力リスト構築が企業の未来を守る

警察庁が管理する「反社会的勢力リスト」を直接閲覧することは叶いませんが、暴追センターの活用や、精度の高い民間ツールの導入、そして多角的な調査フローを構築することで、企業は十分に身を守ることができます。

反社チェックは単なるコストではなく、企業の信用という「無形の資産」を守るための投資です。この記事を参考に、自社のチェック体制が「名ばかり」になっていないか、今一度見直してみてください。

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